この原稿を書いている時点で県立高校の入試が終わり、大学入試も国公立大学2次試験前期の合格発表の時期であり、残すは2次試験後期のみとなりました。大半の受験生は一息ついていることでしょう。まあこの地域の高校入試は受験できれば合格する、『高校全入』状態ですから何も心配していないことと思います。私も全く心配しておりません。
さて、意味ありげなタイトルで始まった今月の塾だよりですが、これが何を意味しているかおわかりの方はいらっしゃいますか。もしかしたら高校在学中の生徒だと「ああもしかして…」と気づくかもしれません。
少子高齢化が問題となって久しいのですが、田舎では全国平均よりはるかに速いスピードで少子化が進んでいます。もちろん当地も例外ではありません。小中学校の統廃合、高校の定員減少、それを超える志願者・入学者の減少…。
その影響を受けているものの一つに部活動があります。部活動の数も減少していますし、各部の部員数も以前より少数です。運動部だと試合に必要な人数は決まってますから、その人数確保に躍起になります。
そうなると必然的に部活動を辞める、あるいは転部することが困難になります。あの手この手で引き止めにかかります。当然といえば当然ですよね。
部活動の問題については以前からここで触れてきましたが、旧態依然の軍隊的指導が残っている部があったり、それが当たり前と思っている人が指導者であったりなどがありますが、私の立場で言うなら中でも問題になるのは、勉強に必要な時間と体力を奪っていることだと思っています。この点については何度も詳しく触れてきましたので今回は省略しますが、タイトルに話を戻すと、部活動は辞めにくいものだと理解してほしいのです。安易な気持ちで部活動を選んで後に後悔する人をこの目で数多く見てきました。辞めたいと顧問に告げると酷いことを言われた例もありました。「あいつは人としてだめだ、人間じゃない」とまで言った教師もいました。体力的にきつい、勉強時間を確保したいと言っただけなのに…。
「今その辛さから逃げてどうする、これに耐えて人は成長するんだ」
定番の引き止め文句の一つです。でも、上記の場合は逃げているのではなく時間・体力の制約のもとで選択をしただけの話です。
「〇〇君は部活動も勉強も頑張ったぞ。君にだってできる」
お願いですからそれができなかった人の割合を教えてください。〇〇君の人一倍の努力を誰にでもできるというのは〇〇君に対してとても失礼な話だと理解できないのでしょうか。人並み外れた努力と才能による大谷翔平くんの二刀流を誰にでもできるとそう簡単に言えないでしょう。
まとめるとしましょう。当地の中学では部活動の選択肢はそう多くはないので仕方ない面がありますが、高校ではそれより多くの選択肢があります。高校で何をしたいのか、卒業後に何をするのか、そのために今しなければいけないことは何なのかを慎重に考えてください。
参考までに学習指導要領(解説)の一節を引用します。
『特に、生徒の自主的、自発的な参加により行われる部活動については…』
これが何を意味するのかお考えください。